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Darobactin A の全合成

Darobactin Aの全合成。 MerckおよびSarlah先生らと、Baran先生らによりほぼ同時に発表されました。

chemrxiv.org

chemrxiv.org

構造1
構造2

14員環と15員環の2つの大員環を含む化合物です。
それぞれの大員環にはインドールがあり、回転できないためアトロプ異性体が考えられます。

2つのグループはともに、Larockインドール合成法を活用することで、インドールおよび大員環を構築する経路にて全合成を達成されました。

MerckおよびSarlah先生らの全合成

15員環を構築後、14員環を構築

  • 最初のLarockインドール合成では、ヨウ化アリールとTMS-アルキンを反応させていますが、分子内に次の14員環構築用の臭化アリールが共存しています。 著者らは、反応温度を低くすることでヨウ化アリール選択的に反応が進行することを見出しています。
  • アトロプ選択性は3:1と、所望の異性体が優先して得られています。
  • 次のLarockインドール合成では、臭化アリールとTES-アルキンにて反応させ、所望の異性体のみを合成しています。

経路全体が非常に洗練されて無駄がない印象です。
反応条件を相当な検討をされて、幾何異性体や立体選択性の制御を限界まで突き詰められたのかと思います。

Baran先生らの全合成

同じく、15員環を構築後、14員環を構築

  • 脱炭酸型クロスカップリングやC-H官能基化によりユニットを合成。
  • 最初のLarockインドール合成では、無保護のアルキンを使用することで、良好な収率かつ単一のアトロプ選択性で反応が進行することを見出されています。
  • Larockインドール合成では、Sarlah先生らと同じPd触媒を利用。Reisman先生らの研究によるものだそうです。
  • 次のLarockインドール合成でも、アトロプ選択性は単一です。

こちらも、例えばLarockインドール合成に1年以上かけているなど、ルートを洗練されています。

どちらも面白い全合成でした。