12億円ほしい人のブログ

メガBIG当たらないかな

Asperfloketal A の全合成

ドイツ、ハノーファー大学のHeretsch先生らによる、Asperfloketal A の全合成。
Aspergillus属の真菌から単離された化合物だそうです。
ハノーファー大学とググったらとても立派な講堂(?)が出てきました。
SI読みまして、以下が特におもしろかったです。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.2c10735

transオレフィンのジオール化

シャープレス不斉ジヒドロキシル化(不斉配位子が多分違うけど)でジオール化。
調べたところ、メタンスルホンアミドを添加することでエナンチオ選択性が向上するらしいです。
後工程での酸化はうまく進行しなかったようです。

アリル位の酸化

二酸化セレンによりconvex面から酸化
3置換炭素でそれなりに混んだ位置ですが所望のアルコールが得られるそうです
セレン酸化は本当に有用ですね。

オレフィンのエポキシ化

MMPP(magnesium bis(monoperoxyphthalate) hexahydrate)を用いてエポキシ化
ペルオキシカルボン酸の代替として、個体で使いやすい試薬みたいです

エポキシの開環

エノンのγ、δ位のエポキシ基を、塩化物イオンにより開環→PCCで酸化してケトンへと変換
反応機構がSIに記載ありますが、おもしろいですね。どうやって見つけたんでしょうか。

retro-Dieckmann反応

水酸化物イオンを作用させることで5員環ケトンを開環
二重結合の位置が移動しています。
元の位置の方が共役が連なってて安定そうなので意外です。

縮環部位の酸化

シリルエノールエーテルに変換してから酸素を反応させているのですが、反応機構がよくわからないです。
本紙になんて書いてあるんだろう

Ketalization

強酸で脱アセトナイド→ケタール化を実施
構造がほぼ同じの別化合物だと本反応は進行しなかったということで、どうしようか悩まれたと思います。
こういう状況で、保護基とか変えたらいけるかも!って諦めずチャレンジできるのが本当にすごい。

Wagner-Meerwein転位

本論文のハイライトである、転位による骨格合成です。
Ruche還元後、BF3エーテルを作用させて所望の転位体へと変換することで、
想定生合成経路を模倣するというコンセプトを見事達成しています。
副反応が起こりそうですが、高収率なのも驚きです。

SIには、うまくいかなかった反応もいろいろと載せられておりおもしろかったです。